マイクロキャッスル

Try to Describe It All

君の名はまだない

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 自宅の向かいにある平屋のアパート群の取り壊しが始まって、朝っぱらからショベルカーやらでけたたましくやっている。新しくアパートが建つらしい。その平屋は少なくとも私が未就学児の時から平屋であり続けていたので、今となってはチープなその外観も、道路に面した高い生垣も、20年以上変わらない景色として脳みそに刷り込まれていた。その景色が数日で更地になると脳がパニックを起こして、自分が今どこにいるのか一瞬わからなくなる。身近な風景の一部が変化しただけでもそうなるのに、眠りから覚めたら知らない女の子と身体が入れ替わっていた、なんて言ったらパニックどころではないし、呑気に自分のおっぱいを揉んでいる場合ではないような気もする。というわけで『君の名は。』を観てきました。

 映画館行ったら中高生が列をなしていて、地方シネコンのくせに満席で、おじさんが一人で観るのに良い環境とは言いがたいものの、始まってしまえば問題なかったし、隣に座った年配ご夫婦も上映後「面白かったねー」とおっしゃっていたので大丈夫だと思う(何が)。ツイッター上で「スマホ時代にすれ違いの恋愛を描くにはここまでする必要があるのか...」といった旨の感想があって、なるほどな、と。この時代、すれ違うには時空を超える必要があるらしい。個人的には、入れ替わり現象に翻弄される(そして現代ならではの方法で対処していく)日常シーンだけをもっと見たいと思った。スピンオフでやってくれたら観るのに。ラッドウィンプス推しは多少厳しいが、耐えられないレベルではなかった。断片的だけどこんな感じです。面白かった。

 シカゴのラッパー、ノーネームのミックステープがやばいですね。最高。チャンス・ザ・ラッパーやジャミラ・ウッズの作品に客演している彼女ですが、それらのアルバムと共に繰り返し聴きたくなるのがこの『テレフォン』です。特にジャミラの『HEAVN』とはかなり近しい感覚を共有しているように感じます。スカスカでありながら必要な音が全てある、最小限の働きで最大限の効果を得られる省エネ設計。最高。例によってフリーで公開しているのですが、こういうのはフィジカルで欲しい...。