マイクロキャッスル

Try to Describe It All

#私を構成する10枚

 少し前、ツイッターで「私を構成する9枚」というハッシュタグが流行りまして、主に音楽アルバムを対象にしたものだったので、キリのいいところで1枚増やしてやってみます。今まで音楽を聴いてきた中で新しい扉を開くきっかけになったものを中心に選びました。

1. スピッツ『名前をつけてやる』

名前をつけてやる

名前をつけてやる

 

  音楽を熱心に聴いた最初の記憶。中学時代にハマって以来、自分の音楽的嗜好の核を形成するものの一つだと思っている。ファーストと悩んだのだけど、やはりこっちですかね。とにかくヤンキーを軽蔑していた私にとって、そういった人々のメンタリティとは真逆の、なよっとしたそれに無意識に惹かれた部分がかなりあると思う。

2. The Strokes『Is This It』

Is This It

Is This It

 

 海外のバンドを聴くようになったのは大学に入ってからで、板橋のツタヤでこれとフランツ・フェルディナンドとかを借りたのが最初だったと思う。ポストパンク・リバイバルの真っ只中にぶつかったのは本当にラッキーで、人生はタイミングだし、ストロークスは最高のロックンロールバンドだった(過去形)。

3. ゆらゆら帝国『空洞です』

空洞です

空洞です

 

 今は亡き池袋のWAVEで試聴したときに受けた衝撃と言ったらなかった。結果的にラストアルバムとなったこの作品から過去のアルバムへ遡っていくことになるのだけど、サイケデリックやガレージ、実験的なものからソウルまで、様々な入り口を提示してもらったような気がします。

4. Can『Ege Bamyasi』

エーゲ・バミヤージ

エーゲ・バミヤージ

 

 ホラーズの二枚目が出た時にクラウトロックの影響が云々みたいな話があって、そこから興味を持つようになったと思う。ミニマリズムの心地よさに気付いたのはこの頃だったかも。中でもスプーンのバンド名の由来となったラストトラックが収録されているこのアルバムが好きです。

5. LCD SoundsystemLCD Soundsystem

LCDサウンドシステム

LCDサウンドシステム

 

 ダンスミュージックへの興味をかき立ててくれたのがLCDラプチャーでした。ジェームズ・マーフィーからは音楽の歴史に対して敬意を持つことを学びました。あのおじさん、今年はツアーを行う予定だったり新作をリリースする噂まであって、当時ネットで生中継された解散ライブを感慨深く観ていた私はなんだったのか。

6. スチャダラパー『WILD FANCY ALLIANCE』

WILD FANCY ALLIANCE

WILD FANCY ALLIANCE

 

 ヒップホップ。私のようなもやしっ子はそのマッチョな価値観とは絶対に仲良くできないだろう、という先入観を打ち破ってくれたゆる〜いやつ。いかなる状況も笑い飛ばすユーモアを持つことは、私の人生の指針ですらあります。今ではゴリゴリのヒップホップもかなり聴けるようになりました。人って変われるんだな。

7. Flying Lotus『Los Angeles』

Los Angeles (WARPCD165)

Los Angeles (WARPCD165)

 

 iPodに入っている曲のほとんどがバンド音楽だった当時、今までに聴いたことのない電子音楽として鮮烈なイメージを焼き付けた一枚。チリチリと鳴り続けるスクラッチノイズ、ヒップホップの強烈なビート、せっかちに動き回る電子音、全てが新鮮でした。アルバムジャケットに写っているこれが何なのか、未だに分からない。

8. Stevie Wonder『Innervisions』

innervisions

innervisions

 

 ソウルやファンク、ジャズ、R&Bの素晴らしさに気付いたのも、黒人ボーカリストの圧倒的なパワーに憧れを抱くようになったのも、この作品があったからこそ。11枚だったらマイケル・ジャクソンも入れていたんだけどな。今まで、わざわざ肌を焼く日本人の意味が全く分からなかったんですけど、あれは黒人への憧れなんだと分かってからはすんなり納得できました。

9. Fela Kuti『Zombie』

Zombie

Zombie

 

 ブラックミュージックからもう一枚。これ聴いたら踊らずにはいられないでしょう、ってくらいパーカッションとホーンセクションが凄まじい。私の狭い視野をアフリカ音楽へと拡げてくれた作品。そして、世界にはまだ見ぬ素晴らしい音楽が無数に存在するだろうことを思って勝手に絶望した。

10. Deerhunter『Microcastle』

Microcastle

Microcastle

 

 2008年以降、私の音楽的嗜好を決定付けた一枚。それまではパキッとした、スタイリッシュな音楽が好みだったのだけど、夢見心地で甘美な世界観に完全に心奪われまして、以来メロウなものやアンビエント寄りのものが好みの中心に居座ってます。

 音楽に対して無知であった2000年代後半は本当に音楽を聴くのが楽しみで、新しい作品に出会うことは自分の経験値がアップする体験に近く、その中毒性はある種ドラッグにも似ていたのですが、最近は「これから先、あの時のような快感を覚えることはないんだろうな」と一抹の寂しさを感じていました。しかしそれは自惚れであり怠慢であると気付き、世界にはまだ見ぬ素晴らしい音楽が無数に存在するのだから、あの時以上の快感を求めてこれからも探し続けようと決心しました。ドラッグに手を出さずとも快楽を得ることは出来る、ということをASKAや清原に教えてあげたいのです。