マイクロキャッスル

Try to Describe It All

カーステレオと2000年問題

 妹を私の車に乗せる機会があると決まって、「つまんない洋楽なんか流してないで、知っている曲をかけろよ」と宣うので、そのたびに私は車を停めてアイフォーンからにせんねんもんだいのアルバムを再生することにしています(ブルートゥースで車のオーディオに飛ばしている)。さらに「聴いた瞬間からこれはお前の "知っている曲" になったわけだよなあ?」などと屁理屈をこねれば、前方からは人力ミニマルテクノ、後方からは妹の冷たい視線と、サラウンド的な何かを感じることができるのでおすすめしません。

 このエピソードは(半分)嘘だとしても、実際、共通の音楽背景を持たない他人を車に乗せるときは、クリスペプラー氏のラジオでもかけているのが無難であるのだなあ、と最近になって痛感しています。

#N/A [国内盤] (BRC479)

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 にせんねんもんだいの新作好きです。前作『N』が超の付く傑作だったので期待はしていたのですが、方向性は変わらず、ノイズ成分多めの作品になっていると思います。元々は、今作のプロデューサーであるエイドリアン・シャーウッドとのライブでの共演の話があり、だったら一緒にレコーディングもしてしまおうということで、手持ちの曲もほとんどない状態からセッション形式で作られたアルバムのようです。そういった背景もあるせいか、『N』がポップに思えるほどミニマルな感触に仕上がっている気がします。