マイクロキャッスル

Try to Describe It All

デンタルフロスとグライムス

 7年ぶりくらいに歯医者に通ってます。軽度な虫歯を3ヶ所ほど治療したり、点検・清掃をしてもらったりするうちに歯をいたわる気持ちが芽生えたのか、今までとは比較にならないほど入念に手入れをする自分がいる。歯に対する意識改革がなされたようで大変喜ばしく思います。というかまあ単純なんだよな。思考が。

 そこはハンサムな院長と美人の歯科助手さんがいるところで、その女性が歯磨きの指導もしてくれるのだけど、「はいじゃあ歯ブラシを鉛筆を持つように持ってみましょう」みたいな、かなり手取り足取りのレッスンが始まり、「ここの歯はブラシを少し寝かせて磨いてみてください」とか言われて私の歯磨きをしている様子をじっと見られるなどのプレイが延々と行われた。私は顔を真っ赤にしながら「早く終わってくれ...」と死にそうな気持ちだったのが、続いてのデンタルフロスの練習で、歯に挟まったカスがフロスにくっ付いて出てきたので完全にとどめを刺された。Mの気がある人にはおすすめです、歯医者(そういう場所ではない)。

Art Angels

Art Angels

 

 グライムスの新作、すごいな(小学生並みの感想)。セルアウトとかそういう中途半端な次元ではなく、完全にポップに振り切れている。"Genesis" のこだまするシンセループも、"Oblivion" のブリブリとうねるベースラインも無い。アンダーグラウンドの雰囲気を纏いつつも、彼女のポップセンスは前作でも証明されていたわけで、そのポップサイドが野心とともに思い切り強く出たと言うべきか、とはいえここまでの抜本的な作風の変化は相当の覚悟がないと出来ないよなあ。

 で、これがめちゃくちゃ良いアルバムなんだよな。台湾のラッパーが客演する "Scream"(このラップがまた新鮮)を除いて、ほとんどがド直球で完全無欠のポップソング。終盤、今までとは幾分かシリアスなトーンで始まる "REALiTi" がまた素晴らしい。涙腺直撃のハイライトです。これからプロデューサーとしても引っ張りだこの未来が予見できる。

 クレア・ブーシェの、中高生が描くようなテイストのアルバムカバー、今回はかなり強烈ですね。わりと分かりやすく作品の内容を反映しているようにも思えるけど(本当か?)。その辺りの少女性もきっと彼女にとって大切なものなんだろうな。アートワークも含めて完全支持です。