マイクロキャッスル

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『6才のボクが、大人になるまで。』と謎のプリンス

 リチャード・リンクレイター監督作品、『6才のボクが、大人になるまで。』を観た。4人の俳優が12年間同じキャストを演じ続けた、という知識しか入れずに映画館に行ったのだけど、まさに「6才のボクが大人になるまで」を描いた映画だった。シーズン6くらいまであるドラマシリーズを最初から最後まで観るような、濃密でさりげない時間の流れを感じられた。アカデミー賞に6部門でノミネートされる前評判の高さに見合うだけ、あるいはそれ以上の衝撃を、静かにもたらしてくれたように思う。

 コールドプレイの "Yellow" に始まり、アーケード・ファイアの "Deep Blue" で幕を閉じるまで、多くのポップミュージックが作品に彩りを添えていて、劇中音楽の変遷を辿ることでも12年間の流れを感じることができる。アメリカ人だったら何倍もグッと来るんだろう。ハリーポッターのブームとかも。

 ゲームに夢中だったり、大人に「もっとはっきり話せ」と言われてしまうような現代っ子のメイソン(エラー・コルトレーン)が、変化を受け止めてどのように成長していくのか、環境が変わっても飄々として表情に乏しいメイソンのように、物語もドラマティックになりすぎず起伏が抑えられていて、それが観客を没入させるリアリティとなっていたように思う。とはいえ、そうある人生ではないよな。あの義父の子供たちはどうなったんだろう。