マイクロキャッスル

Try to Describe It All

ネガティヴ・ランニング

 いままで幾度かハーフマラソンを走ってきた私、春に初めてフルマラソンに挑戦することにした。フルを走る理由としては、好奇心が2割で、「ボランティアをしたくない」が8割かな。・・・いや、毎年ね、地元でフルマラソンの大会があって、うちの会社は社員総出で会場のボランティア活動をするんだけど。地味に面倒なので、それだったら選手として走ってしまえばいいじゃない、というネガティブで合理的な逆転の発想。例えばこれが別のスポーツ大会だったら、出場しても「なに遊んでんだよ」と非難を受けるところを、フルマラソンくらい過酷だと「お、頑張れよ」とむしろ応援されるのが、非常にいい塩梅である。ちょろい。

 もともとなぜマラソンを始めたかというと、上司や同僚と趣味の話になったときに全く会話の材料となるものが無くて、「何かひとつスポーツでもやっていれば話のきっかけにはなるし、印象もいいだろう」と安易に考えた中で一番手近だったのがマラソン、というだけの後ろ向きな理由で。ハーフの大会にエントリーをするのは「目標を作らないとどうせ走らないから」だし、大会に向けて練習するのは「本番で苦しい思いをしたくないから」と、ネガティブな理由が満載である。マラソンに限らず私は普段から「自分が何をしたくないのか」を判断基準として行動する傾向にあるようなのだけど、最近はそれを利用して、ネガティブな事象に対する反発力からポジティブな行動に移していく、という「自分の操り方」がなんとなくわかってきた気がする。それが長期的に見て、良いことなのか悪いことなのかはよく分からないけれど。少なくとも完走できなければ、ただの根暗な面倒臭いやつということになってしまうので、完走しないとやばい。

 エイフェックス・ツインの新作めちゃんこ良い。素描的な短い曲が多いのだけど、そのシンプルさがいいよな。聴き手の状態に因らずに聴ける、フラットな作品というか。スネアをロールするだけとか、妙にいいんだよな。プリペアド・ピアノ(弦に金属片などを挟んで音色を変化させたピアノ)の硬質な響きも現代音楽っぽくて好みだと思った。いや、「プリペアド・ピアノ」と呼ぶことは調べて初めて知ったけど。こんな動画も参考にしつつ。

 30分弱で聴き終えられることもあり、かなりリピートしていて、この前のアルバムよりも断然こっちだな、とか思いつつ『サイロ』を聴き直してみたらこっちも良くて、本当に今更ながらエイフェックスに嵌まりつつある。